5月近況

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連休後半の初日は外出した。晴れて日差しが気持ち良いが、風が強い。何度整えても髪がぐしゃぐしゃになるのでそのままにして歩いていたら、ショーウインドウに映った自分が古いカンフー映画に出てくるバカの役みたいになってたので、すぐに目をそらした。

シカク(大阪のインディー本、CD、展示などのお店)に行って、委託販売をしてもらっている本の清算をしてもらう。本が少しでも売れているのは嬉しい。韓国の作家が作った旅モノっぽい漫画と、台湾の写真zineを買った。

店を出て駅近くでラーメンを食べる。スープが美味くてつい飲み過ぎてしまい、あとあと気持ち悪くなった。「ラーメンって一発で体調わるくなるよね〜」と言って普段は意識の高い自分を演出しているが、たまにスープが飲みたくなる。塩でも豚骨でも魚介系でもなんでもいい。もっと言うと麺はいらない。ネギも匂いが強すぎるのでスープの邪魔になるだけだと思う。

その後、兵庫の元町まで阪神電車で向かった。乗り換えがよく分からない。電車では入口あたりに立って外を眺めるのが好きなのだが、たまにガラスに頭を乗せる人がいて、そいつの脂で窓が曇ってよく見えないときがある。あの時の怒りを10だとしたら、車内で電話で話すやつなんて2くらいだ。

元町に着くとトンカ書店に向かった。去年は全く行けなかったので、かなり久しぶりだ。ここでも自分の本を置いてもらっているので、あいさつに伺う。変わらず賑やかなお店だった。在庫ゼロになってしまった「SHITTY GIRL」もまだ3冊置いてあったので、探している方はぜひ元町へ。

その後、同じ元町の喫茶店ポエムへ。ここのマスターにも自分のマンガを読んでもらっていて、近況を報告した。ウェブで連載していることを話すと、「続けてたら何かいいことあるもんですね」と言ってくれた。自分もいいトシだし、しみじみそう思う。マンガを描いていて最終的な目標は無くて、ただ「続ける」ことだけ決めているので、ずっとどうなるか分からないままやってきたけど、やっていると何かあるし、そういうのがあるから続けられているのだ。

最後に神戸駅まで行って、神戸中央図書館に向かった。今度描くマンガは図書館のシーンがあるので、少しディティールを見ておこうと思ったからだ。張り紙とか本の並び方とか客層なんかを小一時間ほどメモ。水木しげる全集が揃っていて「神戸市民になりたい!」と瞬間的に願った。

クタクタになって帰宅し、前日作ったカレーのあまりを温めなおして食べた。

コミックMeDu掲載用の次回作ネームにOKが出たので、これからまた下描き→ペン入れ→仕上げの作業にかかります。おそらく6月末公開予定になるので、待っててね&お楽しみに。

5月近況

私のむずかしいひとり暮らし

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マンガWebサイト「コミック MeDu」に掲載された短編マンガ「ビールを買いに」に続く第2弾、「私のむずかしいひとり暮らし」が公開されています。内容は、ひとり暮らしを始めた女性が、隣室との生活音トラブルに悩む、という内容です。

(リンク「私のむずかしいひとり暮らし」

親戚から聞いた話。住んでいるマンションにややこしい人がいて、住民の井戸端会議で話題になっているらしい。その人の家はマンション内の通路がわに部屋があって、その前を通る人に対してものすごく威嚇的だそうだ。少しでも足音や話し声がすると大声で文句を言って黙らせる。一度そこで怒鳴られた小学生が「怖くて通れない」と自宅までいちいち別階を迂回して帰っているらしい。

井戸端会議でその話を聞いた親戚が「可哀想にねぇ」と言うと、他の住人の一人が「でもその気持ちわかるわぁ、子供の声ってキンキンうるさいもの〜」とウンコの匂い嗅がされたみたいな顔して言ったそうだ。

自分も一人で暮らしていて、近隣の音は気になるほうで、気持ちはわかるけど、本当に静かに暮らしたかったら山奥か無人島に行くしかないよな、と諦めている。

家って自分のテリトリーとかなわばりみたいなもので、それこそプライベートそのものなので、他人の要素(声とか音とか匂い)が少しでも持ち込まれるとすごく居心地悪くなってしまう。そういうストレスからどうやって逃げるのか、とよく考えているけど解決策は大体カネなんで結局は悲しくなる。ある程度我慢して生きて行くしかないんだと思う。世の中ってそういうもので、人と人が迷惑かけたり我慢しながら成り立っていて、それを自覚して受け入れて暮らすのが社会人かも、とか考えたり。

と、このブログでは作品解説か、裏話を書こうと思っていたんですが、とりとめのない記事になってしまいました。次回はまた3ヶ月後、6月末ごろ公開の予定です。ぼちぼち作業に取り掛かっています。震えて待て!

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私のむずかしいひとり暮らし

3月日報

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日曜の夕方、マンガの作業がひと段落したので散歩に出た。天神橋まで歩いたら桜がもう咲いていたので、マクドのナゲットとビールを買って花見をキメたそのあと本屋に行って5000円以上使ってしまった。春の陽気と解放感に浮かれてしまった中年の春。

ウェブマンガ誌「MeDu」に掲載するための作業を黙々と進めています。今年はその間をぬってコミティアに向けて1本作品を作るつもりでやっていますが、夏までに完成は無理そう。ただプロットはまとめてあるので、やる気と作業時間の確保次第という感じです。秋までには、と思っています。

最近観た映画では「HAPPY END」がすごく良かった。この監督の作品は観たことがなかったのだけれど、静かな画面がかっこよくて眠くなる。シーンが切り替わるたびに少し時間が飛ぶので、前後関係が把握しづらいけれど、観てると段々と「あ、そういうことか」と気づくので面白い。観終わっても理解度は半分も無くて、真夜中の街を歩いて帰りながら「あのシーンはどういうことなんだ?」と考え続けるのが楽しい。結局次の日も引きずって色々考えてた。観たと言う職場の先輩を捕まえて「あれ、こういうことっすよね〜」みたいな話を一方的にするのも良かった。何よりラストシーンが凄くて、何というか、大人なフランス映画から一転「本当にあった呪いのビデオ」みたいになるのがビビった。

iPhoneに入れてる音楽を春仕様に変えて、ヒートテックを全部捨てた。

3月日報

2月の雑記

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写真は、久しぶりに米を買ったので炊くの図。

マンガの下描きを続ける日々。作業する前にコーヒーをいれるのだけど、同じ豆でもいれ方で味が変わる、と聞いて以来いろいろと試してみる。前まではじっくり蒸らして、細いお湯で静々と注いでいたが、雑にお湯をどばどばと回しながら注ぐほうが「風味はあるけどあっさり」する気がして好みだ。安定しないけれど。

最近読んだ『大聖堂・製鉄・水車』という本がよかった。中世ヨーロッパの軍事、建築、商業、農業の技術史について書かれている。読んでいて「へぇ〜」の連続で、大学の講義を聞いているみたいで面白い。例えば、アルファベットには大文字と小文字があるが、最初は大文字だけだった。小文字ができた理由は紙(羊皮紙)が希少だったから少しでも書くスペースを節約しようとして作られた、とか。大航海時代は「香辛料」を求めた商人たちの要望から始まった、と中学の世界史で習ったけど「香辛料」とはコショウのことだけでなく、砂糖やシナモン、象牙、麝香、石鹸など色々なものの総称として使われていた言葉だった、とか。こういう読書をしておけば世界史の成績ももっとマシになってたかも、と読んでて思った。

マンガ作業の方は順調なので、寒さがだいぶ和らぐ頃には発表できると思います。

2月の雑記

もう1月も終わりなのね日報

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寒い日がつづく。自分は朝仕事に行く前と、夜仕事から帰ってからマンガの作業をしているが、部屋がギンギンに冷えていてやってられない。机が冷たい。コーヒーがすぐにヌルくなる。今週はついに水道管が凍った。年々冬が嫌いになる。

今朝出勤前にあわてて洗濯物をベランダに干したら、冬の絶対的エース、ノースフェイスの雪山用タイツのお尻の部分が思いっきり破れていた。身につけているものまで枯れていく。この冬は穴あきパッチでやり過ごすだろう。お金ないし。

前の記事にも書いたけど、今年はWebマンガ誌「MeDu」に短編を連載していくので、今は次回作の作業を進めています。1本目公開からしばらく経ちましたが、色々反響があってうれしい。しっかりしたマンガを作りたいと思います。

最近観た映画は「バーフバリ」なんだけど、開演30分前にチケット売り場に行ったら「空いてる席はここだけです」と言われて、一番前の端っこ席だった。超満員だったよバーフバリ。販売員にそう言われて思わず笑ってしまったよ、バーフバリ。帰ってからYoutubeに上がってる宇多丸の「バーフバリ」評を見たら、コメント欄が「バーフバリ! バーフバリ!」だらけでまた笑った。

写真は我が家の西郷どんです。

もう1月も終わりなのね日報

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“『カラマーゾフの兄弟』は、あくまで未完の物語である。”

去年1年かけてチマチマと読んだ光文社古典新訳文庫『カラマーゾフの兄弟』の最終巻の巻末にあった解題の最後の一文。あれだけ長々と読んでまさか続きが構想されてたなんてという思いで「まじかよ!」と年の暮れの晩に独り叫んだ。年末年始の特番を色々録画したけれど、なかなか消化できずにいる。どうしてもNetflixの方に目が行ってしまって、「このサイテーな世界の終わりに」という米マンガ(原題 The End Of The Fucking World)がドラマになっててメチャクチャ興奮した(ドラマの制作はなぜかイギリス)。

遅くなりましたが、2017年の暮れに作業を進めていた短編マンガ「ビールを買いに」が、Webマンガ雑誌「COMIC MeDu(めづ)」にが掲載されています。大学を出たが就職先がなく、実家でダラダラと過ごす無職男の行き場のないお話です。Webなので閲覧はタダですから、立ち読み感覚で読んでみなよマザファカー! よろしくお願いします。

リンク〈ビールを買いに〉

「ビールを買いに」は実体験と重ね合わせているところが多いので、舞台となるマンションや町は自分が暮らしていた地元をイメージして描いた。あくまでイメージなので、年末実家に帰りモデルとなった場所(実家のマンションとか)を見て来たけど、ディティールは全然違っていた。こういうのって取材してから描くべきなのかも知れないけど、地元そのものを描きたい訳じゃないので、いちいち写真を撮ってそれを元に描く必要はないし、むしろそうしない方がいい絵になると思っているので、違ってていいと納得している。けれどずっと見てきた光景なのでかなり詳細に記憶しているつもりだったのに、現実とのズレにちょっと焦った。あと、図書館は高知に旅行したときに行った文学館の隣にあった建物をモデルにした(多分図書館なんだけど閉まってた)。

「MeDu」には3ヶ月に一本のペースで掲載してもらう予定なので、次回は4月ごろになると思います。それに向けてまた別の短編を今作っています。今年はこのペースでコツコツと作品を描けるように頑張ります。プラス出来れば夏〜秋に自主冊子を一本作ってコミティアに出たいな、という感じです(コミティアは自分が40歳になるまでは年1回は参加しようと考えていて)。まあ会社の方の仕事もあるし、ゲーム(モンハン!)もあるしで不安はありますが、フンドシしめて(パンツ釣り上げて)やっていきますぜ2018年、という感じです。

それと、宣伝や作業報告用にツイッターアカウント作りました。よかったらチェックしてみてください。

 
リンク〈OFoshima〉

2017年雑感

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先週末、部屋にこもってマンガの作業を続けていたが、「もしかして!」と思い立ち、昼にマクドナルドに走った。

グラコロだ。今年『その「おこだわり」俺にもくれよ!!』というマンガで読んで以来ずっと待っていたものだ。そのマンガの中にグラコロについてのおこだわりを語る男が現れ、曰く「冬限定の商品で」「食べるとグラっと揺さぶられて、コロっと仰け反るくらいに美味い」らしい。読みながら、自分は一度もグラコロを食べたことがないな、などと考えていると猛烈に食べてみたくなった。その時は8月だったので冬の遠さに熱も冷めてしまったが、気づけばもう冬じゃん! あの夏の衝動が蘇った。

つっかけでマクドに向かい、単品持ち帰りでグラコロを注文した。年ごとにバージョンが変わるようで、今年は「超グラコロ」「熟グラコロ ビーフシチュー」の2種が出ていたので2つとも買った。何が違うのかよく分からないが、「熟」の方はチーズが挟んである。

家に帰ってさっそく食事にしたが、紙包みから取り出されたハンバーガーのショボさったらないな。食事としては頼りない大きさに、萎びたパンズが哀れだ。もっと堂々としていて欲しかった。

食べてみると、グラタンコロッケのドロリとした食感と、キャベツのシャキシャキがマッチして良い。2種に大差はないが、「熟」の方がしっかりした味。マズくはないが「ウマイ!」と絶賛するものではなかった。グラタンの中にエビ(無味無臭)が入っていた。感想としては、「やっぱり肉が食べたい」だった。

という感じで、年末にかけて短編マンガを描いていました(ほぼ片付いた)。発表は年明けになると思います。今年は中編「エンディングテーマ」と、短編「窓際とタコ焼き」「焼き鮭とごはん」の3本が出せた。描いた枚数だと80ページくらいになる。なんとなく「年100ページ」を目標にしているので、もう少し頑張りたい。

去年に初めて売るためのマンガ「SHITTY GIRL」を作って、委託販売や通販、コミティア参加をして、そこでのリアクションが今年の活動に続いているという感じがする。自分的にはいい流れだと思っているので、このまま波にライドしながら精進していきたい。ありがとうございます。

あと、このブログも「今年は週イチで更新するぜ」と思っていたのに、振り返るとギリギリの月イチペース。来年はだらしなくならないよう頑張ります。

それでは良いお年を!

2017年雑感

コミのティア

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少し遅くなったけれど、コミティア行ってきました。雨だったので手荷物をなしにして会場に向かったけれど、駅からビッグサイトまでは屋根が続いていて、濡れずに移動できた。バブルな土地開発の残り香がした。

参加するのはもう4回目なので、ずいぶんと慣れた顔で余裕を持って出店できた。ただ、いい感じのお昼ご飯をまだ用意できないのが問題だ。会場で屋台も出ているが割高そうなので論外だし、ビッグサイトにはレストランもあるが一人でやっているので食べに行くわけにもいかない。新幹線の駅で弁当を探すのだがエビやあさりが入っているので食べられない(東京の弁当はいちいち深川めしをプッシュしている)。結局コンビニの駄おにぎりと駄サンドイッチでしのいでいる。味気ないおにぎりをかじりながら「まだまだ慣れんですばい、東京」という気分になる。いつかこの問題を克服したい。

ティアズマガジンにレビューしてもらったおかげで、売り上げは今までで一番よかったし、東京遠征したかいがあった。お買い上げしてくださった方、ありがとうございました。

今回に向けて作ったコピー本(写真右側の冊子)が多少余ったので、通販しています。過去作品の再録ですが、興味のある方は〈store〉までどうぞ!

コミのティア

コミティア122に出ます

ずいぶん更新が止まっていましたが、生きています。10月は仕事ばっかでした。マンガは年内にもう1本描く感じでやってます。

11月23日(木・祝)のコミティア122(東京)に出店します。「エンディングテーマ」がレビューに掲載されたとのことで(レビュー書いてくださった方ありがとうございます)、追加でもう一度東京行きます。

ブースは「し07b」になります。

基本「エンディングテーマ」を売りに行くのですが、それだけだとつまらないので、コピー本を作りました。過去に自分のフリペに描いた「TAXI DRIVER」というマンガと、依頼を受けて人様の冊子に描いた「これからの私たちに起こること」「ハト」の短編3作を再録したものになります。ちょっとレアトラック&読み返して面白かったものをチョイスしました。

写真はその冊子になりますが、両A面デザインで、左開き右開きの両方から読めるように作っています。全24ページ、コピー印刷。200円で販売します。コミティアでの販売がメインですが、あまればホームページで通販します。

あと、大阪のナイスなインディー本屋「シカク」が制作する漫画冊子『品格』の3号にも短編を1本描かせていただきました。「焼き鮭とごはん」というタイトルの、ちょっと陰気な雰囲気のマンガを描いています。これも同じコミティアで出店して販売されるようなので、興味のある方はぜひチェックしてください。ブースは「き49b」、「わくわくショウルーム」というサークル名だそうです。(僕のブースでは取り扱ってません)。

あっという間に年末の足音が聞こえて来るし、夕方外を歩きながら紅茶花伝ホットを飲むともう冬の空気で、ちょっと驚いた。翌日起きてツバを飲むと喉が痛くて、風邪っぽい。部屋でも靴下を履かないと寒い。加湿器を買いたい。仕事もバタついてくる。せわしない年末の雰囲気に飲まれてぼ〜っとするこの頃。阿部共実の「ちーちゃんはちょっと足りない」というマンガを読んで衝撃の傑作。

コミティア122に出ます

9月日報

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(写真は今年の盆休みに撮ったもの)

このひと月は会社の方の仕事が忙しくて、げっそりしたまま家に帰りビールをあおって寝るだけの毎日だった。とは言ってもいつもと違い、なんばを経由する通勤だったのでスキを見てレイトショーに通い映画を観ていた。「ベイビー・ドライバー」「エル」「三度目の殺人」「オン・ザ・ミルキー・ロード」を観た。「〜ミルキ・ロード」はビールを買うと50円キャッシュバックだったので嬉しかった。クストリッツァ監督の計らいだと思いたい。
それぞれの感想を書くのはしんどいので省くけれど、この中だと「エル」が一番面白かった。どれだけドライでヘビーでも笑える作りのものがいい。
あと、DVDで黒沢清の「CURE」を観た。いまやってる「散歩する侵略者」に行きたいのだけど、どうも時間がとれず代わりに観た。萩原聖人の演じるキャラクターが記憶障害ということで、言った側から話を忘れる男で、観ててすごくイライラした。最後まで見ると物語の構造的にそれも演出なのか〜と思うので、すげえ(萩原聖人はイラつくやりとりをしながら話す相手に催眠をかけて殺意を解放していく、っていうネタ。つまり観客に対しても同じ作用が?)。

話は変わって、自作「エンディングテーマ」について。作品にどういう意図とかは自分からあまり言う必要はないし、「解説」で十分語られているので、読んでくれた方にボーナストラックという感じで、制作のウラ話を。

「エンディングテーマ」内でイルな存在感を放った竹田について。彼には特にモデルとかはなくて、「自分の知識を若い人に得意げに語りたがる中年」というイメージのキャラクターです。そうやってうっとうしく語るシーンを描いたのですが、うっとうしすぎてカットしています。

彼の見せ場は、屋上でサックスを吹きまくるシーンだと思っていますが、描いてて難しいシーンでした。彼はジャスバンドを組んでいる設定なんですが、作者の僕がジャスを全然聴かないのでイメージできない。友人が大学のジャズ研にいてサックスを吹いていた、ぐらいの関わりしかなくて(しかもその友人は関東で暮らしてて交流がない)、どうしたものかと話を作っていざ絵にする段階で途方に暮れてしまいました。そこでイメージしたのがジェームス・チャンスという人です。サックスプレイヤーとしてその友人以外に思い浮かぶ人間がこの人で、だからと言って特に何かを知ってる訳でもなく、「No New York」というコンピレーションアルバムの冒頭をメチャクチャなサックスのブロウとシャウト(とダンス)で飾る人です。竹田の屋上プレイはこのイメージで描きました。伝わらねーだろうなー、という無力感でこんな記事を書いています。
(james Chance & The Contortions – Dish It Out)

あと、サックスを描くためにネットで画像を検索したのですが、「どんな悪魔的な人間が作ったのか」と思うくらい複雑な作りで、どれだけ画像を見ても構造を理解できまでんでした。一体どんなからくりであんな音を出せるんだ? どこまで音階を調節できるんだ? そんな感じで混乱しながら、いつもの美容室に散髪に行くとマンガ「Blue Giant」が置いてあるではありませんか。主人公がサックスプレイヤーでジャズのマンガです。「うおお、最悪このマンガのサックスシーンをパクるしかねぇ」とサイドを刈り上げられながら思いましたが、よく見るとこのマンガでもサックスの複雑な構造は幾分省略(ごまかし)して描いてあるように見えました。マンガにはそういった「ごまかし(省略)とはったり(誇張)」の文化というものがあります。僕も「ああ、そこらへんは雰囲気でいいじゃん」と開き直ってあのシーンを描きました。

サックスをやたらと「ビービー」とブロウするのは下品と言われるみたいですが、僕が人生で数回目撃した公園とか河原でラッパを吹いてるおじさんは、周囲の視線はお構い無しに(見過ごした何かを取り戻すように)吹き散らしていたので、ジェームス・チャンスのようなブチ切れ感が出ればと思っていました。

最近はガボガボとビールを飲みながら次のマンガの作業を地味に進めているので、また形になれば嬉しいねえ。
予備知識ゼロで「月曜日の友達」というマンガを読んだのだけれど、鳥肌が立った。絵も話もこんなレベルでやってるんか!て衝撃。背景の書き込みの濃度がすごい。あそこまで描く絵はおそらく「くどい」レベルなのだけれど、この作品ではギリでその線を回避している。ひとつは人物をいわゆるマンガ描写にしていて、主人公を始め人間の絵を単純な記号(マンガ)的描写に落とし込んでいるので、基本的な視線がブレない(かつジブリ映画ぐらい生き生きと動く)。そしてもう一つは、その中で背景の描写がやたらと精密なのだけれど、昨今の写真をそのままトレースしたり画像加工したような絵ではなく、あくまで「マンガ」の絵で描いているから、その二つが違和感なく調和して眼に映る。そして、そういう絵柄だからこそ、主人公の心情に迫って行くシーンでの効果的な描写(硬い文章&空想的な絵)がすんなりとハマる。
この完成度は、いわゆる「マンガ」表現を煮詰めた先の一滴だと思う。並べるなら、こうの史代の「この世界の片隅へ」や高野文子の「黄色い本」と同類の濃度というか熱さというかヤバさだ。正直スゲー、スゲー。作者の別の作品も探すぜ。「負けねーぜ」とか強がり言う前に一読者として素直にスゲー。

9月日報