SPRING HAS COME(2)

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ようやくたどり着いた。1話目の「ビールを買いに」から2年が経った。最後はもう一度彼の話を描こうと決めていたので、色々と詰め込んでしまい、ラストエピソードは前後編になった。

元々「ビールを買いに」は自分が無職だったころの体験をベースに描いている。MeDuでの連載はそういった物語をやっていくつもりだったが、1話目以降はもう少しフィクショナルな話になっていった。多分そっちの方が上手くいくと思ったからだろう。自分の嫌な過去を振り返るのは気が重くなるし、楽しくない。それを作品にしていく作業は誇張ではなく膨大なエネルギーがいる。だって数ヶ月間ずっとそのことを考え続けるわけだから。そこから少し離れて、気楽にマンガに取り組むようにした。気楽といっても真剣だったし、実際それで気に入った短編がいくつも描けた。

ただ最後にもう一度「ビールを買いに」に戻ったのは、一連のラストにふさわしいと思ったからだ。あのどこへも行くあてのない状況から、自分の人生は少しずつ変化し、どこかへは進んでいるはずで、それはこの物語の主人公たちも同じだろう。確実にある彼らのその後、そのわずかな変化だけでも示したかった。

なので「SPRING HAS COME(1)(2)」はもう一度昔のことを思い出しながら作った。描かれた職業訓練も実際に自分が受けた体験を元にしている。作中の専門学校の建物もその時に通ったビルをモデルにしていて、学校自体はもう移転してしまってあの建物自体は取り壊されたみたいだけれど、内部の教室も含めて薄い記憶で描いた。実際の訓練はもう少し本格的で、印刷についての講義や協力業者に派遣されて実務体験などもした。受講前には入試のようなものもあったと思う。

漫画の中でオニさんは「こんな授業に意味はない」と言ってたが、自分はこの訓練を受けて、デザイナーとしてなんとか仕事を見つけることができたし、意味はあると思っている。

仕事がない状態というのは、この世の中に自分の居場所がないということを嫌でも実感させられる。働くことが生きることのすべてではないと分かっていても、だ。前作「ビールを買いに」ではその居場所のなさを描いたつもりだ。

自分もいつ無職に戻るかわからない身分だけど、いまあのキツさを味わってる人がいるなら「こういうステップもある」と知ってもらいたい。

何もない無職の状態から、いきなり面接を受けて就職というのはイメージしずらいし、うまくいくのか不安になるものだと思う。そういう場合に、職安や職業訓練といった機関を利用するのはいいと思う。0から1に進む前に、0.2、0.5と準備のステップを踏んで、働くことやそんな自分を少しずつでも想像していけるだろう。

マンガの中の坂田くんたちはうまく行ってはないけど、それでもぼんやりとでも確実にどこかへ進めていると思う(進む方向は別に前じゃなくていい)。

こういうエピソードでこの連載を締めくくれて、自分の中でもひとつケリがつけられた。まだ春が来なくても、今は次のことを考えている。

SPRING HAS COME(2)

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