
さすがに暑いので、毛布を片付けることにしました。クリーニングに出すと2000円くらいかかるので、自分で洗ってみようと思った。プランとしては、風呂場で洗う、洗濯機で脱水、天日干し、の流れで考えていた。
浴槽でお湯に毛布を浸け、ヨーロッパの田舎娘がやるように、裸足で毛布に乗って何度も踏みつけた。汚れが出るのか、お湯が徐々に濁って行った。ヨーロッパの田舎娘はそうやってブドウを潰してワインを作るが、日本の中年男は浴室で毛布のニゴリ汁を作るのだ。
次に洗濯機に入れて脱水だが、水を吸った毛布が信じられないくらいに重い。出来るだけ毛布をしぼって水分を抜いてもだ。とても人間が素手て扱えるなんて思えないような重さだった。自分の軽率な行為に落ち込みながらも何とかしようと、毛布の端を持って、浴槽から少しずつ引きずり出す。ズリズリとそのまま浴室から玄関前までデロンと横たわるぐっしょりした毛布を見てると、「死体遺棄現場」という言葉が頭に浮かぶ。「何でこんなことをしたんだろう」と泣きべそをかきそうになった。
「死体は全く力が入っていないので、生きている人を持つより重い」という話を、理論的には何の関係もないのに信じたくなる毛布を床にようやく広げた。2つに折り畳んで、端から巻き寿司のように巻いていく。ビチャビチャになった床は後で拭けばいい。筒状になった死体、じゃなくて毛布を気合いで洗濯機に放り込んだ。超重量の心配をよそに、洗濯機は見事に回転し、脱水してくれた。
脱水後は普通の毛布に戻っていた。さっきまでの悲壮をすっかり忘れ、ベランダに干して、マンガ作業にかかったのでした。
今日は2ページと3コマペン入れ。1日3ページが届かない。